1998年当時、マンホールチルドレンたちが口ずさんでいた唄。
小さな頃から 穴ぐら暮らし
闇をさまよいながら大きくなった
生れた家にも明かりはなかった
なんでこの世に生まれたのか
母さんはなんで僕を生んだのか
おなかは毎日減るけれど
食べる物などありゃしない
しかたがないから歌ってる
1990年初頭、モンゴルはソ連崩壊と共に社会主義から資本主義への転換を余議なくされた。しかし、急激な自由経済市場の導入は経済の大混乱を招き、国民の半数近くが貧困層に転落、多くの失業者が生み出された。
モンゴルがまだ経済混乱の只中にあった1998年の冬、首都ウランバートルの地面の下、マンホールの中には大勢の子供たちが棲みついていた。
ウランバートルの地下には、各家庭につながるスチーム暖房用の温水パイプが網の目のように張りめぐらされており、子供たちは、このパイプの余熱で寒さをしのぎ、生き延びていた。
10歳に満たない頃から盗み、暴力・・・無法地帯で生きざるを得なかった子供たち。
彼らは、親からの虐待、一家離散・・・など、心に傷を負っている者ばかりだった。
取材過程で、少年グループのリーダー・ダシャ(14歳)ボルト(13歳)と、少女グループのリーダー・オユナ(14歳)と出会った。
ダシャは、10歳の時、両親の離婚によって里子に出されるが、養父にひどい暴力を受け家出、マンホールチルドレンになった。ボルトの両親も離婚。母親に「都会に出て稼いでおくれ・・」と送りだされ貧しい家計を支えるために都会に出来たものの、首都ウランバートルに子供に稼げる仕事などなかった。
マンホールチルドレンには、少女たちもいた。グループのリーダー・オユナは物心ついた時から、家族でマンホール生活を送ってきた。
この3人が、マンホールの中で育ち大人になってゆく姿を、10年の歳月とともに描く。夢・友情・裏切り・嫉妬・暴力・・・愛と葛藤に揺れ動く3人の心の奥底に迫ってゆく。
この映画は、NHKで放送した番組を基に、独自撮影分を加え500時間を超える映像記録を劇場公開用に再構成したものである。